8月20日発売のTMS 9月号連載第27回は「昼下がりの日方駅」です。
紀勢本線海南駅から離れたところに野上電鉄の起点日方駅があった。日方駅は80mほど先に国鉄海南駅との乗換え専用の連絡口駅もある変わった駅であった。背後に藤白山脈が迫る構内には地味な青緑色に塗られた元阪神や元阪急の小型車が至る所に休んでいた。
野上電鉄日方駅の構内の端にあった連絡口駅。
日方駅の構内に休む元阪神の小型車と、本線で3扉車が停車しているところが連絡口駅。
木造駅舎の入口に木板に手書した日方驛の文字。コンビニや自動販売機、ワンマンカーもまだなかった時代。電車が発車するまでのひと時、昼下がりの日方駅にこの時代独特の空気感が流れていた。
売店の上の奇妙な絵画は、終点 登山口から行ける生石(おいし)高原の観光案内のようだ。